長野地方裁判所 昭和46年(わ)57号 判決 1971年8月30日
本店所在地
長野市大字栗田六五三番地
株式会社 小賀坂スキー製作所
(右代表者代表取締役 小賀坂広治)
本籍
飯山市大字飯山二、九五七番地
住居
長野市大字栗田六五三番地
会社役員
小賀坂広治
大正四年二月一四日生
右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官伊藤実出席して審理を遂げ、左のとおり判決する。
主文
被告株式会社小賀坂スキー製作所を罰金二〇〇万円に、
被告人小賀坂広治を懲役四月に
それぞれ処する。
被告人小賀坂広治に対し、本裁判確定の日から二年間、右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告会社は、長野市大字栗田六五三番地に本店を置き、スキーの製作販売等を営業目的とする資本金二千五百万円の株式会社であり、被告人小賀坂広治は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人小賀坂広治は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、被告会社の一部の売上を除外し、公表帳簿上、材料費を架空計上する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四二年四月一日から同四三年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が三一、七一七、五四一円で、これに対する正規の法人税額が一〇、四九八、七〇〇円であるのにかゝわらず、同四三年五月三一日長野市西後町六〇八番地の二所在、長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一五、〇二〇、一四八円で、これに対する法人税額が四、六六八、九〇〇円(但し計算違いにより四、七二〇、七〇〇円と記載)である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額五、八二九、八〇〇円を免れ、
第二、昭和四三年四月一日より同四四年三月三一日までの事業年度において、被告会社の実際所得金額が三二、九六五、八八九円で、これに対する正規の法人税額が一〇、六一五、八〇〇円であるのにかかわらず、同四四年五月三一日前記長野税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六、五七〇、八九六円で、これに対する法人税額が四、八九七、八〇〇円である旨虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右事業年度の法人税額五、七一八、〇〇〇円を免れ、
たものである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、被告人小賀坂広治の検察官に対する供述調書
一、宮川季久、高野利久、小賀坂さとの検察官に対する各供述調書
一、大蔵事務官作成の坂野幸雄に対する質問てん末書
一、国税査察官作成の「架空仕入金額の支払額及び当該金額の返済を受けた金額の明細書」と題する書面
一、大蔵事務官作成の「現金、預金、有価証券、貴金属、確認書」と題する書面
一、大蔵事務官作成の「貴金属確認書」と題する書面
一、国税査察官作成の預金、有価証券内訳明細表
一、押収にかかる簿外売上メモ(六枚)、売上台数メモ(七枚)(昭和四六年押第二五号の三、四)
判示冒頭の事実につき
一、登記官吏作成の会社登記簿謄本
判示第一の事実につき
一、大蔵事務官作成の証明書(一)
一、大蔵事務官作成の伊江典成に対する質問てん末書
一、坂野光子、鈴木四郎作成の各答申書
一、国税査察官作成の査察更正決議書(昭和四二年三月期に関するもの)
一、押収にかゝる仕訳伝票綴、昭和四二年度四冊(昭和四六年押第二五号の一)
判示第二の事実につき
一、大蔵事務官作成の証明書(二)
一、大蔵事務官作成の川辺峯男、伊藤三三、小林俊夫、小林秀夫に対ずる各質問てん末書
一、国税査察官作成の査察更正決議書(昭和四三年三月期に関するもの)
一、押収にかゝる仕訳伝票綴、昭和四三年度一冊(昭和四六年押第二五号の二)、雑メモ十一枚(同押号の五)
(法令の適用)
被告人小賀坂広治の判示各所為はいずれも法人税法第一五九条第一項(第七四条第一項)に該当するので所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役四月に処し、被告株式会社小賀坂スキー製作所に対しては法人税法第一六四条第一項により被告人小賀坂広治の右各違反行為につき同法第一五九条第一項所定の罰金刑を科すべきところ、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第二項により各所定罰金の合算額の範囲内で被告株式会社小賀坂スキー製作所を罰金二〇〇万円に処し、被告人小賀坂広治に対しては情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 中村護)